辰野登恵子の軌跡―イメージの知覚化―
このたびBBプラザ美術館では、一昨年に急逝された辰野登恵子(たつのとえこ)(1950-2014年)の画業を辿る展覧会を開催いたします。
辰野登恵子は、70年代、タイルの壁などから着想した格子状やストライプの線の連続と反復を基にして、線描の強弱や僅かな滲みなどにより生まれる差異の形象化を、版画やドローイングなどに試しており、当時のポスト・ミニマリズムの動向にも関心を寄せながら、絵画というメディアの復帰へ果敢に挑戦しています。
80年代に入ってからは、油絵具の材質感を生かし、連続的なパターンはそのままに、新たなモチーフを通じて絵画とイメージの関係を親密に造形化し、絵画空間を模索しつづけます。この頃からの辰野の造形における特徴は、アラベスク、矩形の連鎖によるダイヤ形、方形、球形、雲形などのモティーフのヴァリエーションが挙げられ、また堅牢でやや厚目のテクスチュアを用いることで、豊潤な色彩の有機的造形を描く独自の表現を追求しています。
90年代以降、独創的な色彩と、豊穣な質感に立体的で重力感が加わった平面構成により、さらなるイメージの造形化へ取り組み、絵画でしか実現しえない空間造形を制作しつづけます。
1995年には史上最年少の45歳で東京国立近代美術館での個展が開催され、翌年に第46回芸術選奨文部大臣新人賞を受賞、さらには2013年に第54回毎日芸術賞を受賞するなど、今日の現代絵画シーンを代表する画家として高く評価され、今後の展開が期待されているなかで、絵筆を措かざるを得なくなったことは返すがえす残念でなりません。
本展が、絵画と版画の往還から、自己の絵画観や版画観を追求しつづけてきた辰野登恵子の約40年にわたる画業を辿る機会になればと願っています。
会期 | 2016/07/05(火) ~ 2016/09/19(月) |
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開場時間・休館日 | 午前10時 ~ 午後6時(入館は午後5時30分まで) 月曜日 (祝日の場合翌平日) |
入館料 | 一般400円/大学生以下無料/65歳以上の方半額 ※7/7(木)は開館記念日のため、入館無料。 ※本展入館について/前期展示をご覧いただいた方は、チケット半券のご提示で後期展示をご覧いただけます。 |
開催者 | 主催:BBプラザ美術館・株式会社シマブンコーポレーション 協力:辻 和彦 後援:神戸市・神戸市教育委員会・朝日新聞神戸総局・神戸新聞社・産経新聞社・日本経済新聞社神戸支社・毎日新聞神戸支局・読売新聞神戸総局・サンテレビジョン・ラジオ関西 |
関連プログラム・ イベント |
ワークショップ「かたちでないかたち・いろでないいろをつくろう!」 日時:2016年8月21日(日) 13:30~16:00場所:BBプラザ内 講師:善住芳枝 氏(画家) 対象:主に小学生 20名・要申込 参加費:500円 申込み方法:往復はがきに、参加者名前(ふりがな)、年齢(学年)、郵便番号、住所、電話番号をご記入の上、下記へ送付してください。 ※応募者多数の場合は抽選を行い、当落に関わらずハガキで通知いたします。 応募締切:7/31(日)消印有効 【BBプラザ美術館ワークショップ係 〒657-0845神戸市灘区岩屋中町4-2-7 BBプラザ2F】 |