日本画家 髙山辰雄（1912-2007）が月刊誌『文藝春秋』に描いた表紙絵原画全156点をご紹介いたします。
髙山は、先輩画家 杉山寧(すぎやまやすし)（1909‐1993）のあとを引き継ぎ、1987年から1999年までの13年間、『文藝春秋』の表紙絵を通して人間を描きま した。 〝日月(にちげつ)星辰(せいしん)〟の日本画家としても知られる髙山は、15センチメートル四方の小さな画面に太陽、月、星、人物、花々など様々な題材 を用いて日々の営みの中にある一瞬のきらめきを捉え、生きとし生けるものへの慈しみを込めた崇高な世界を創出しています。
作品ひとつひとつに添えられた文章には、髙山の作画姿勢が四季の中での感興、郷愁、自然を見つめる真摯な視線によって紡がれており、文章と表紙絵が織りなす独自の世界に私たちは魅せられてしまいます。
本展が、髙山の生涯かけて追究してきた創作姿勢を回顧し、時に忘却している自然や生物への慈しみ、人と人との繋がりなどを多くの方に想起していただく契機ともなればと切に願っております。