展示案内

パリと日本を駆けぬけた画家 菅井汲の眼差し -版による色彩と記号のシンフォニー-(前期)

このたびBBプラザ美術館では、フランスと日本で活躍し国際的に高く評価された画家、菅井汲の展覧会を開催いたします。
菅井汲(すがい くみ 本名 貞三 1919-1996)は神戸に生まれ、大阪美術学校で学んだ後、阪急電鉄広告宣伝課で1945年まで商業デザインを担当。1952年に渡仏し、以来パリで制作を行います。
菅井の最初の版画作品は、1955年にパリのクラヴェン画廊の勧めで制作したりトグラフ《赤い鬼》に始まり、その後はリュブリアナ国際版画ビエ ンナーレ、ノルウェーー国際版画ビエンナーレなどに度々出品しています。1960年の第2回東京国際版画ビエンナーレでは、国内の最高賞、国立近代美術館 賞を受賞。1962年にはイタリアのヴェネツィア・ビエンナーレでも入賞するなど、版画においても独自の世界を構築し、注目を浴びます。
また、この頃乗り始めたスポーツカー・ポルシェは菅井の画業に大きな影響を与えます。作品には運転中の視野に飛び込んでくる道路標識が使われ始 め、記号化と明快さとが特徴となります。信号や道路標識に続いてトランプ、花札、S字など、記号的な図像が版画作品にも多く使用され、赤、青、緑、黄と いった鮮やかな色彩が駆使されています。作品自体が菅井汲を代弁する記号となり、生きた時代や社会を象徴する記号とも言えます。
本展では、菅井の代名詞ともいえる版画作品に焦点をあて、初公開作品となる滞仏時に描かれたペン画、1950年代に制作した陶土による静物レ リーフ等を併せて展示します。無署名のマルチプルという菅井の版画に対する眼差し、色彩と記号のシンフォニーでパリと日本を駆けぬけたシステマティックな 版画の仕事を、ゆかりの地神戸で紹介いたします。

会期 2010/04/20(火) ~ 2010/05/23(日)
入館料 一般300(240)円/高・大学生200(160)円/小・中学生100(80)円
(65歳以上の方・障がいのある方とその付添いの方1名は半額 ※( )内は20名以上の団体料金)
その他 パリと日本を駆けぬけた画家 菅井汲の眼差し -版による色彩と記号のシンフォニー-は前期・後期日程に分けて開催します。
前期:2010年 4月20日(火) ~ 2010年 5月23日(日)
後期:2010年 5月25日(火) ~ 2010年 6月27日(日)