2025年 BBプラザ美術館コレクション展 青とモノクローム ―フランスと日本の色を読む
世界最古の絵画は6万年以上前に描かれた洞窟壁画といわれていますが、人類が色を使って表現したその瞬間から、現在にまで至る長い探究が始まりました。かつて、近代フランスの前衛美術グループであるナビ派の作家モーリス・ドニが「絵画とは、ある一定の秩序のもとに集められた色彩によって覆われた平面である」と言葉を残したように、絵画は作家が創出した色の世界です。オーギュスト・ルノワールら印象派は、色の三原色を基調とした筆触分割により革命を興し、色彩によって対象の真実を描き出そうとするフォーヴィストら多様な表現を生み出す起点となりました。
本展覧会では視覚芸術において大きな意味をもつ“色”に改めて注目し、三原色のひとつでもある青色に焦点を当て、その色にひそむ作家の狙いや記憶を探ります。
当館コレクションよりフランス・日本の近代から現代までの青に関係の深い作品と、モノクローム(白黒)の作品を併せて紹介します。
青の章では、荒天の風景を好んで描いたモーリス・ド・ヴラマンクや、澄明な空や海の表現から “巴水ブルー”と呼ばれ多くの人を魅了した川瀬巴水らを、モノクロームの章では、藤田嗣治のしなやかな線描の銅版画や、津高和一の詩的な響きを感じる油彩画、濱田庄司の白釉の陶作品などを展観します。作家たちの色と、そのあわいに込められた鼓動を感じてください。